シタデルのブログ 些細な日常

I need to my focus. This is very important in my life.

李陵・山月記 中島敦

本(模型と関係ない) ] 2019/12/15(日)

001_20191215020532331.jpg

数ヶ月前、テレビのバラエティ番組で山月記の事が紹介され、この作品を知ることに。
テレビであらすじが紹介され、ストーリーにも勿論興味惹かれたのだが、それ以上に番組内で言及されていた作中のある文言がすごく気になったので、確認のために是非、読みたいな、と。

文言とは「自尊心」
主人公はそれのために人となじまず、超自然的な力により、人食い虎(獣)と化してしまう。

(↑)の寓意はわかるんだけど、自尊心の為に人となじめず、人と相容れず、そして獣に化けちゃうなんて、少し展開としておかしいな?
きっと番組スタッフは別の言葉を間違って使っているんだろう?
多分、原本では、「思いあがり」とか「傲慢」とか「自意識過剰」とか、そういう類の言葉が使われているんじゃないの?と、想像を逞しくしていたのだが、原本でも「自尊心」と表記(ガ~ン、、)

原本には「自尊心」と記述されているのだが、それでもやっぱり納得できない。
自尊心ってあって然るべきものであるし、高く持つべきものだから。
そして、ふと思う。
作者の中島敦さんがこの作品を執筆したのは昭和17年(わお)
その頃と今では言葉に対する解釈用法が違うのじゃなかろうか?と。
そう思うと、作中主人公が友人に漏らす、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」という表現も何だかおかしな言い回しだな~?と。
言わんとするところは察するのだが、言い回しがなんかヘンだな、と。
戦中はこういう言い回しだったのだろうか?
現代的に言うなら、「根拠の無い自信」と、4文字熟語の「厚顔無恥」ってところだろうか?
主人公は根拠のない自信から誰に師事することもなく、他と切磋琢磨することもなく、かと言って己を厳しい目で見る事もせず、しかし厚顔無恥にも、己の才能を信じきっていたので現実から目を背けるばかりで、ある日それらに身体を奪われ獣と化してしまった。
獣と化してしまった主人公は友人に自分の詩を世に発表して欲しいと望み、次に残された妻子の世話を頼む。
作中、主人公もこの順番は間違っていることに気付き自嘲するが、根拠のない自信に捉われたものは彼に限らず、こんな境遇に遭ってしまっても、先ず第一に、「己」なんだろうか?
獣と化した下り、そしてそれに続くことから、強すぎる利己主義を諌める秀逸な寓話。
現代のSNS社会においても、肥大し続ける承認欲求とそれの充足のため、「映え」のワードの元、非常識な事を繰り返す人達も、ヒトに害なす、人食い虎と化してるのかも知れないな。

(そして、撮影機材や、撮影マニュアルのお蔭で、見栄えは良いがそれらはただ、『お手本どおり』にしただけで、才能ではない。
作中主人公の友人が、虎が詠唱する詩に感じた違和感とは、こういう事だったのじゃなかろうか?)
03:10 | トラックバック:0 | コメント:0 | 先頭 | TOP


異邦人 アルベール・カミュ

本(模型と関係ない) ] 2018/07/26(木)

ちょっと、この本を読みたくなったので押入れをガサゴソw

珍しい本、もう手に入らない本(所謂「きこう本」←変換できないw)は勿論保管しますが、市販の文庫本や新書本は読んだら捨ててしまう人なので、ずうっと以前に買ったこの本が残ってるかどうか疑問だったけど、残っていた。
まぁ、とても興味深い話しだから、捨てることなく、残していたんでしょうね。

現代人は何等かのコミュニティや組織に属し、そこの一員である資格として、当然の反応を要求される。
極端な例えとして、花を見てキレイと思うとか、子供や親を庇うとか、暴力での解決を否定するとか、自分に関係の無い事でもある程度の興味を持つとか、、、(そういう振りが出来るとかw)そういう事ですね。

「〇〇さん、こんな事があったんですよ」
「へぇ~、それは面白いですね~!」

「ねぇ」、あの花見て。キレイでしょ?」
「うん。キレイだね。」

コミュニティは暗黙の了解の上に成り立っている。
ルールは一々説明しなくても良い。
適宜適宜、望ましい反応は「分かり合ってる」という建前だから。

でも、その建前が分らない人達、そういう振りが出来ない人達が居たら?
意図して破ってるのでなく生来や性格的に無関心無理解で、結果的に破ってしまうことばかりを繰り返す人達は?
きっと、その人達は、そのコミュニティにすれば、異国の人。「異邦人」だろう。
「太陽のせい」で、異邦人っぷりをクローズアップされた、ある青年の悲劇を描いた傑作。
しかし、この物語の主人公は、「オマエに何がわかるっ!! 何が悲劇なもんかっ、オマエたちには分らないだけで、オレにとっては、ある意味望んでいた結果だっ! 」って、それまでの人生で感じていたずれを、憤懣やる方ない思いを、激しい感情剥き出しに吐露してくるかな?ww

あとがきの一文が偶々だけど今のSNS社会、SNS疲れを先取りしてるようで面白い。

まぁ、人が人を羨むのは、いつの時代にも付きまとうと言うことですね。
そして価値観人生観人間観、、何もかもか多様化し、個々間での「ずれ」が当たり前化してる現代。そんな現代だから、古典小説のはずなのに、この小説の世界観は生々しく鮮烈に肉迫するように思う。

ところで、異邦人と一緒に見つけた星新一の文庫本。

星新一の作品は時代小説の「殿様の日」とエッセイの「明治・父・アメリカ」以外は全部読んだと思う。
そして、この「きまぐれロボット」が一番最初に買った本。
もう、ずうっと昔の子供の頃の事なのに、まだ昨日のことのように憶えているw



23:49 | トラックバック:0 | コメント:0 | 先頭 | TOP




| このページの先頭へ |

Thank You for Your Access

Twenty Twenty

03 | 2021/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリ

検索フォーム